課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 課長は濡れた私の頬にそっと口づけると、私を見つめて言った。

 「合格、だな。」

 「合格?」

 「そう。結婚の条件。」

 「え?」

 「一つは、『信頼』。んで、もう一つは、」

 その答えが早く知りたくてじっと見上げていると、課長は「思わず」というように「ふっ」と笑って、私の唇を啄ばんだ。

 ドキッと鼓動が跳ねる。
 
 目と目が合わさったまま何も言えないでいると、

 「『愛情』だ。」

 言い終わると同時に、唇を塞がれた。

 唇を合わせたまま私の唇を吸ったり舐めたり啄ばんだり。
 その度初めての感覚に体が震える。

 「んんっ…!」

 息苦しくなって声を上げた所で、課長はやっと私の唇を放した。

 「鼻で息すんだよ。」

 「え?」

 「キスの間は鼻呼吸。」

 そう言うが早いか、もう一度私の唇を塞いだ。
 
 
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