課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 そしてまたしても私の耳を弄び味わい尽くした彼は、肩で大きく息をしながらぐったりとしている私を見下ろして、欲を浮かべた瞳を浮かべて言った。

 「美弥子、お前の全部を貰うぞ。」

 胸がきゅうっと苦しくなる。
 
 私はこの人に大事にされてるんだ…

 そう思えたことが嬉しくて、彼が愛しくて、思わず彼の首に腕を回してギュッと抱きついた。

 「はい。全部、貰ってください、雄一郎さん。」

 「お、お前…このタイミングでそう言うこと言うなよ…」

 ちょっと動揺した声を出した彼を見ようとしたけど、顔を反対に背けているから見えない。
 辛うじて見た彼の耳が真っ赤だった。

 照れてるの?…可愛いかも。

 とちょっと思ったけど怒られそうだから口には出さない。

 「俺を煽った責任、ちゃんと取ってもらうからな、美弥子。」

 そう言って私の唇を塞いだ彼と一つになった。
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