課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 彼の意図が掴めなくて「??」と首を傾げている私に、

 「そう言えば、美弥子今日が誕生日なんだよな?」

 「はい。」

 「それじゃあ、せっかくだから出かけよう。」
 
 そう言って彼は私をソファーから引っ張り上げた。

 「いいんですか?」

 「もちろんだ。行きたいところはあるか?」

 「いえ、特には…。」

 「じゃあ、俺の行きたいところでいいか?」

 「はい。」
 
 私たちはそのまま出かけることにした。
 この時初めて雄一郎さんの車に乗せてもらっのだけど、これがまただれでも知っている高級外車で、その丸が四つ繋がっているエンブレムを見た瞬間、またしても足が止まった。
 助手席のドアを開けながら「早くおいで、美弥子。」と促されて、恐る恐る乗り込んだのだった。
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