課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 雄一郎さんに連れられて着いた先は百貨店だった。

 車から降りた彼は、私の手を取りスタスタと歩き出す。
 そして迷うことなくレディースファッションの階の通路を進んで一つのショップへと入って行った。
 
 
 「これと、これ。あとこれも。」

 次々とお店にある洋服を手に取って、ショップのスタッフに渡す。

 「じゃあ、着たら見せてな。」
 
 と言って私をフィッティングルームに押し込んだ。

 彼のあまりの早業に口を挟めず、スタッフがハンガーから外して渡してくれた服を順に着る。
 着るたびに外に出て、雄一郎さんに見せる。彼は無言で頷く。

 それを何度か繰り返して、やっと渡された服を試着し終わってホッとしながら彼の所に戻ると、それら全部がショッピングバッグに入れられている。

 「ゆ、雄一郎さん!?」

 「さ、次。」

 とそんな調子でそのあとも入った店で次々と私の物を選んでは買っていく。
 数時間後、買い物に満足したと思われる雄一郎さんと入ったコーヒーショップで、私はぐったりとしていた。

 
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