無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
美術館で展示品を見たあと、彩月は好みのデザイナーのポストカードを数種類買っていた。

館内を出たあと、駿太郎はどこかに電話をかけ、

「ここからバスに乗る。少し遠いけどそれでも大丈夫?」

と彩月に聞いた。

「うん」

彩月は、駿太郎が少しずつ心を開いてくれているのを感じて嬉しかった。側にいられるだけでも楽しくて嬉しい。

体育会系の彩月は、男性と接する機会も多く苦手意識もないが、異性にこんな感情を抱いたのは初めてかもしれない。

バスに乗り込み、後方の二人がけの座席に座る。

ゆっくりとバスが進み始めると、深夜までの深酒と朝早くからランニングした疲れがジワジワと彩月に襲ってきた。

そのうちに、彩月は駿太郎の肩に頭を乗せてウトウトし始める。

駿太郎は穏やかな寝顔で自分に体をあずける彩月に愛しさを感じて、自分もそっと瞼を閉じた。

< 38 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop