無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
その後、駿太郎は初めて女性を自宅のマンションに招いた。もちろんその女性とは彩月だ。

「わあ、何にもないね」

彩月の言うとおり、備え付けのクローゼットや本棚はきっちりと壁に収納され、広いリビングには3人掛けのソファベッドと小さめのテーブル以外、目立つものは置いていなかった。

テレビは見ない。もっぱら読書と音楽が趣味だか、備え付けの棚になおしてあるから、表からは何もないように見える。

音楽はスマホとイヤホンがあれば聴けるし、パソコンは寝室に置いている。

「そこに座りなよ」

駿太郎は、彩月をソファに座らせると、冷蔵庫から飲み物を持ってきた。

「炭酸?」

「うん。これ好き」

「私も」

一瞬、駿太郎は子供っぽいと思われるかと気に病んだが、彩月には本当の自分を見せたいと思ったから、敢えて自分が好きなものを差し出した。

以外にも、同じものが好きだと言われただけで嬉しい。

駿太郎は、そっと彩月の横に腰掛けた。
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