無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
翌日、駿太郎と彩月の勤務する支店に三嶋が出勤してきた。

「彩月ちゃん、ひさしぶり!」

三嶋洋子は一昨年までこの支店でチーフをしていた。

一昨年の4月、短大卒の三嶋は、本社で事務をしながら夜間の大学に通うことを選ぶ。

その大学もこの春、無事に卒業したのだが、なぜか本社にとどまっていた。

その理由は昨日判明。社長が、サンフランシスコに転勤させる彩月に代わって、交代として、この支店に戻すつもりだったようだ。

「あれ?三嶋さんじゃないですか。大学卒業されても本社にとどまっているって聞いて驚いてたけど、ようやく戻って来たんですね。チーフの枠は伊藤さんで埋まってるから、副支店長ですか?」

三嶋と働いていた松山がめざとく駆け寄ってきた。それに気づいた他の社員やパートの女性も三嶋を囲む。

「うん、その件についてはこれから店長から話があるから」

三嶋は苦笑いしながら彩月に目をやった。

彩月も三嶋に微笑み返す。駿太郎は相変わらずの無表情をきめこんでいる。

「みんなに報告することがある」

朝礼の時間がやって来ると、その他の店員もゾロゾロと集まってきた。

支店長と副支店長をスタッフ全員が見つめた。
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