無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
二人は駿太郎のマンションに戻ってきた。

彩月の利用する路線は、まだ終電まで本数はあるものの、突然降って湧いたサンフランシスコ支店への転勤、駿太郎の部署異動など話し合わなければならないことがたくさんあったからだ。

二人ともシャワーを浴び終えると、３人がけのソファに座ってコーヒーを飲むことにした。

「彩月。これから転勤まで、就業後に俺に英語を教えてくれないか？そのためにも、サンフランシスコに行くまでここに一緒に住んでほしい」

「うん。いいよ。ちょうど今月がマンションの契約更新だったの。来週解約になるから、ここにおいてもらえると私も助かるよ」

そういえば、駿太郎がウィングライフスポーツに配属された初日、社長秘書にマンションの契約更新はギリギリまでしないように、と言われたことを思い出した。駿太郎を指導するかわりに、条件のいい社宅を準備するとかなんとか言われたのだ。

彩月は、今のマンションはセキュリティがいまいちだったので、それもいいかなと考えて保留にしていたのだ。


「それにしても,,,」

駿太郎はマジマジと彩月の目を覗き込んで言った。

「彩月は、クォーターだったんだな。どおりで綺麗な目をしてる」

「隠してたわけじゃないよ。私がクォーターだって気づく人は稀だし、おばあちゃんとはずっとあってないから」

彩月の祖母はサンフランシスコで老人施設に入っている。認知症になってからは、家族のこともわからなくなっている状態だ。

「フルマラソン完走コースはどうする？」

「お店に来てくれたメンバーにはその都度説明してお詫びする。残りのメンバーには、来月の教室の時に、三嶋さんの紹介とお詫びをするね。アプリによるフォローは続けるし、冬のフルマラソンの時には帰って来て、ペースメーカーとしての役目は果すから」

「来月の教室とフルマラソンには俺も参加するよ。もちろんアプリのグループ参加も続ける」

「ありがとう」

二人はそっと抱き合って、今後のことについて話し合ったた。


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