一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
「ねぇねぇさっき、佐々木さんまたお客さんに絡まれてたよね。」
「見た見た。あの人いっつも客当たり悪いよねー。」
「ああいうさ、地味で真面目そうなタイプ相手だと、お客さんにも強気になるよね。」
「あーわかるかも!設楽さんみたいな美人相手ならそういう態度にはならないよね。」

閉店後。
裏側の本棚から聞こえてくる、学生バイトちゃんたちの会話。

「佐々木さんって独身でしょ?30近いのに、彼氏もいないくて、寂しいとか思わないのかな?」
「えーあの人にそんな感覚あるのかなー。」
「本の中の王子様に恋しちゃってて、現実見えてないんじゃない?」
「うけるー。」

まさか本人に聞こえてるとは思ってないようで、言いたい放題。

「でも設楽さんも独身だよね。同い年って聞いたんだけど…。」
「設楽さんは選んでるんだよー!」
「あ、そっか。」

あのねぇ、その美人の設楽さんだって彼氏いないんだよーと言ってやりたいけど、
私がここで立ち聞きしていたとばれるのも面倒なので黙っておく。

「将来、佐々木さんみたいにだけはないたくないわー。」
「ホント。30で処女とかマジ勘弁。」
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