一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
こう言われるのは初めてではない。

大学時代もよく、友達に言われていた。
”そんなんじゃずっと処女だよー”とか。

大学時代に1人、卒業してから1人と、付き合おうという口約束の元に数回デートをしたことがあるけど、どちらもすぐに分かれている。
どちらも、付き合おうと言ってきたのは相手なのに、体の関係になる前に相手から別れを切り出してきた。

私にはそんなに魅力がないってこと?

お洒落には興味ないし、
胸元まである髪は後ろで無造作にまとめてるだけだし、
化粧も最低限。

うーん、確かに彼らだけを責めることはできないかも。


でも。
今となっては誰も信じてくれないかもしれないけれど、
私にだって、過去に1度だけ、
’そう’なりそうなことがあった。

相手はもちろん、本の中の王子様なんかじゃなくて、現実にいた王子様。
あれは今から10年以上前、高校3年の時のこと。


あの日、彼と一緒に図書館を出た。
6月だった。
住んでる地域も学校も違う私たちだったけど、週末に図書館で一緒に勉強する。
閉館まで図書館で過ごし、帰宅時も途中まで一緒に。
そんなささやかな関係が、もう1年以上も続いていた。

あの日、いつものように図書館を出て、
私は家へ、彼は駅に向かっていた。

その時突然降り出した大雨。
そんな予報出てた!?と、二人で街路樹の下に逃げ込むも、
雨宿りには頼りないそれに
二人はすぐに濡れてしまった。

徐々に弱まる雨を見て、私は彼に言った。
「私の家、このすぐ近くなの。
良かったら、服乾かして行きなよ。」
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