一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
呆れたような社長の声に
鍵、という言葉には何とか反応できて
私が鞄から取り出した鍵を奪い取るようにつかんだ社長はそのまま鍵を開け、
私を抱えようとしたところで、我に返った。
「自分で歩けます。」
立ち上がって、ドアを開けたまま支えていた社長の腕の下をくぐり玄関に入った。
相変わらず、部屋の中全体がすぐに見渡せてしまう家だけれども
今は真っ暗で何も見えない。
社長は中に入ろうとはしないけれど、ドアを閉めて帰る様子もなかった。
私は、ドアに、つまり社長に背を向けたまま、玄関に立ち尽くしてjいる。
私にとっての現実は、今私が見ている、この部屋。
狭くて古いアパートだけど、
ここで生活している、
これが私の世界。
そして私の後ろにいるのは
日本有数の大富豪。
庶民にとっては別次元のような生活を
実際に送っているような人の世界。
本来、交わるはずのない2つの世界を隔てる壁が
私たちの間に、
この数十センチの間にあるのだ。
「紗良、また明日。」
「え、あの・・・明日ぁ?」
鍵、という言葉には何とか反応できて
私が鞄から取り出した鍵を奪い取るようにつかんだ社長はそのまま鍵を開け、
私を抱えようとしたところで、我に返った。
「自分で歩けます。」
立ち上がって、ドアを開けたまま支えていた社長の腕の下をくぐり玄関に入った。
相変わらず、部屋の中全体がすぐに見渡せてしまう家だけれども
今は真っ暗で何も見えない。
社長は中に入ろうとはしないけれど、ドアを閉めて帰る様子もなかった。
私は、ドアに、つまり社長に背を向けたまま、玄関に立ち尽くしてjいる。
私にとっての現実は、今私が見ている、この部屋。
狭くて古いアパートだけど、
ここで生活している、
これが私の世界。
そして私の後ろにいるのは
日本有数の大富豪。
庶民にとっては別次元のような生活を
実際に送っているような人の世界。
本来、交わるはずのない2つの世界を隔てる壁が
私たちの間に、
この数十センチの間にあるのだ。
「紗良、また明日。」
「え、あの・・・明日ぁ?」