一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
私には、昨日からの出来事を相談できるような友達がいない。
高校でも大学でも友達はいるし、SNSでは繋がっているし
同窓会があれば参加して、近況報告し合うけれど。

ちょっと聞いてよー!!こんなことがあってさー!!
なんてノリで電話できるような友達がいない。

設楽さんなら、説明を省いて話をできそうだけど、
「佐々木さんにも春がきたのねぇ~」なんて微笑まれそうだし。(そもそも社長に買収されてるし。)

こんな状況に陥ったのは初めてだけれど、混乱しているのにそれを吐き出す場がないのは案外つらいものだ。

石田さんが相談相手として相応しいのかはわからないけれど、話してみても良いかもしれない。

「私、昨日からすごく混乱していて・・・。」
「ええ、そうでしょうね。」

「高校生の頃の彼とは全然違っていて。」
「ええ、そうよね。」

「社長が何を考えているのか分からなくって。」
「ええ、そうよね。」

「一体私はこの先どうなってしまうんでしょうか・・・?」
「それは、紗良さん次第じゃないかしら?」
「へ?」

相槌しか返ってこないと思っていたので、意外な言葉に開いた口が塞がらなかった。
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