あなたで溢れている

「…ごめん」

英里奈がポツリと呟く。

何に謝っているかは分からない。
だけど、なにもこんな物騒な所にいる必要はない。

「ん。帰ろ」

家に着いてからちゃんと話し合うと思った。

手を差し出したが…
英里奈は俺の手を凝視してピクリとも動かない。

「…英里奈…今日は…手、繋いでくれないの?」

不安になりおそるおそる伺ってみる。

「…」

「…」

「…」

「…」

「………いままで…ありがとう…」

沈黙を破ったのは英里奈の不思議な発言だった。

「…は?」

理解できず、俺は動けなくなった。
< 26 / 43 >

この作品をシェア

pagetop