一途な御曹司に愛されすぎてます
「淳美がうちに相応しい嫁になれるよう努力さえすれば、ぜんぶ丸く収まるよ。俺もちゃんとフォローするから心配ないって」


 どこまでもケロリとした康平の言葉に、額に当てた私の指先が微妙に震える。

 これは、どうしようか。どう言えばこの人に伝わるんだろう。


「でもね、康平。私にはもう――」

「康ちゃーん!」

 とつぜん聞こえてきた甲高い女性の声に、私の背筋が総毛立った。

 まさかこの声は……。


「康ちゃんたら、ここにいたの? あら、あなたは!」


 恐る恐る振り返った先に予想通りの光景があって、全身が崩れ落ちそうになった。

 そこにいたのはビビットカラーの大判スカーフや、ビジューがキラキラのサンダルで、夏リゾートスタイルをバッチリ決めたお姉さんたち。

 そのすぐ後ろには、大胆なオリエンタル柄のワイドパンツスーツ姿のお母さんもいる。


 ああ、なんてことだろう。いまだに悪夢に出てくる康平一家が再び総出演だ。

 再現ドラマどころか、今この場で新たなドラマが起こりそう。
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