一途な御曹司に愛されすぎてます
 私は桜模様の和紙を手に取り、もう一度メッセージを読んだ。

 真冬の世界の中で、私だけ小さな春を先取りさせてもらったようで心が温まる。

 美しい文字に込められた、優しい心。専務さんて、なんて素敵な心配りができる人なんだろう。


 康平がそろそろお風呂から上がるだろうから、早く部屋へ戻らなきゃとは思っても、どうしてもこの場所から体が動かない。

 もうちょっと、ここでこうしていたい。もうちょっとだけ……。

 また御猪口を口元に運びながら、私はこの幻想的な世界にうっとりと心を躍らせていた。



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