一途な御曹司に愛されすぎてます
『シンデレラのなり損ない』なんて呼ばれたせいで、私は勘違いしていた。


 私はガラスの靴を、セレブに相応しいかどうかを決めるための踏み絵みたいに思っていたけれど、そうじゃない。


 本当のガラスの靴は、自分の中にある理想や価値観だ。


 誰もがそれぞれのガラスの靴を手に持って、その靴を履いて自分と一緒に歩いてくれる運命の人を探している。


 私はガラスの靴を履けないわけでも、靴と不釣り合いなわけでもない。

 たまたま康平が差し出した靴が、私の足には合わなかっただけだ。


 それは恥ずべきことでも、悩むことでも、卑屈になることでもない。

 だって足のサイズや形が人それぞれなのは、当然のことだもの。

 そして今、私の足元には悠希さんがくれたガラスの靴がある。

 銀行家のお嬢様も、議員のご令嬢も、全日本ホテル協会長のお孫さんも履くことのできなかったガラスの靴が、しっかりと私を守って支えてくれている。


「康平」

 晴れることのなかった雲がやっと消えた気分が、声に出ていたのだろう。

 それまでずっとソッポを向いていた康平が、怪訝そうに振り向いた。
< 225 / 238 >

この作品をシェア

pagetop