一途な御曹司に愛されすぎてます
 こんな薄い皮膚と皮膚が重なるだけで、もうこの瞬間から私たちは、ただの知り合いや友だちとは言えなくなってしまった。

 その事実を強引に思い知らされるようなキスが何度も降り注ぐ。

 軽く触れ合う小鳥のようなキスの合間に、唇を優しく甘噛みされ、しっとりした感触と彼の全身から漂うフレグランスの香りが、鼻腔を満たした。


 温度が、感触が、匂いが、じわじわと私の中に入り込み、蕩けてしまいそう。

 驚くほど過敏になった自分の唇で、それまで知らなかった彼の部分を知るという行為が、私の奥深くの頑なな感情を揺り起こさせた。


「淳美(あつみ)。俺はキミが本気で好きだ。いい加減にこの想いを受けいれろよ」


 唇にかかる熱い吐息と切ない懇願。胸が締めつけられるような甘い感情の海に頭の芯が溺れていく。


「とっくにバレてるぞ。キミも本当は俺が好きってことがな」


 そう。私は喜んでいる。ずっとあなたを拒否しながら本当はこうなることを望んでいたの。

 きっとこの気持ちからは逃げられない。

 今にも破裂しそうな鼓動と高まる感情は嘘をつけないから、ようやく私は覚悟を決めた。
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