一途な御曹司に愛されすぎてます
「きゃあ――!」

 美千留の悲鳴と、鈍い振動と、派手な音。

 そして目を丸くして立ち尽くす私の眼下には、階段の踊り場で丸まって倒れている親友の姿と、放り出されたお盆と、無残に割れたカップの破片。


「……美千留――!」


 ようやく硬直が解けた私は、喉の奥から金切り声を出して階段を駆け下りた。

「美千留! 美千留、しっかりしてー!」

 ピクリとも動かない彼女の側にしゃがみ込み、涙声で呼びかける私の頭の中は、ショックと恐怖で真っ白だった――……。




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