一途な御曹司に愛されすぎてます
 いまや『新城総合病院』といえば、わざわざ隣県からも患者が訪れるほど有名で、長男である康平がもうじき後を継いで理事長に就任する。

 つまり彼は生まれ持ってのリーダー。つねに人の上に立つ身なので、自分の意見や判断に揺らぎがないんだ。

 融通が利かなくてちょっと困るときはあるけれど、そういう点は理解して歩み寄りたいと思っている。


 そんなセレブな彼とお付き合いをしている私はといえば、同じ地元の食品卸売業社に勤める平凡な事務職員だ。

 たまたま手伝いに駆り出されていた食品メーカー主催の親睦パーティーで、来賓だった康平と出会った。

 私がメディカル・福祉食品部門の事務をしている関連で話が弾んで、そこから交際が始まって、そろそろ一年になる。


 あのパーティーで連絡先を交換したときは、まさかこんな風にお付き合いにまで発展するとは夢にも思っていなかった。

 だって私は決して目立つタイプじゃない。肩までの黒髪セミロングは、毛先を軽く内巻きカールさせただけのシンプルヘア。

 背もそんなに高くないし、唯一の自慢は思春期の頃でも一度も吹き出物が出なかった肌質ぐらい。
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