嫌いな君を好きになる……
「もう、大丈夫………やめてください」


私は、彼の袖を引っ張った。

やめて、と祈願した。

助けては欲しいけど
暴力だけはやめて欲しかった。


彼がパッ、と手を離すと男は逃げて行く。


狼達は、逃げて行く。


「大丈夫ーー?」


俯く桜と言う女の子。



「おい、真大丈夫だったか?」



「桜??

怖かったね、よしよし」

私は、彼の胸に顔を埋めて泣いた。



見ず知らずの人の胸で、泣いた。


< 8 / 216 >

この作品をシェア

pagetop