イジワル御曹司ととろ甘同居はじめます
「痛々しいな」

夕飯を食べている建一さんが私の肩を見て同情してくれる。

こんなことを旦那さんに言わせてしまうのは申し訳ない。

「よくあることだし、仕方がないんだけどね・・・」

「俺は肩こり知らずだからみずほのつらさがわかんないのが申し訳ない」

あ~!なんて優しい人なの?

こういうさりげない会話の中から出てくる優しさや思いやりに、この人と結婚して本当によかったと思う。

だけど、肩こりは何とかしたい。

「あっ!」

「何?」

建一さんの箸が止まる。

「そうだ!温泉に行こう!」

「温泉?」

「肩こりには温泉につかるのが一番だろ?肩こりに特化した温泉でゆっくりまったりしよう。考えてみれば俺たち
いきなり共同生活からの結婚で、旅行もしてない。決算が終わったらゆっくり出来るだろうから。温泉に行こう!」

建一さんの言うとおり私たちはあれよあれよと全てがハイスピードで進んだ。

だけど、出会いからずっと同じ屋根の下で暮らしていたから二人でどこかに出かける事もなく、旅行もしたことがない。

「行きたい。温泉行きたい」

「じゃあ~決算後に行こう!」

肩こりは辛いけど、そのお陰で初めて旅行に行ける。ヤッタ~
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