拝啓、お願い、叶えます。
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キセキが、起きた。
それも、想像していたよりずっと早く。
私は今、目の前の封筒を見ながら呆然としている。
外から聞こえる雨の音がやけにうるさい。
・・・選ばれた。
叶い人に、選ばれた。
待てよ、誰かのいたずらとは考えられないか?
誰かが私をおちょくっているとか。
封筒には、
私の家の住所と郵便番号と
ハルカ様、と
それから、
叶い屋。
まだ期待しないでおこう、いたずらかもしれないし、
叶い屋は落選した人にもご丁寧になにか送ってくれるのかもしれない。
震える指で封筒の上部を細く丁寧にハサミで切り、
綺麗に3つに折られた白い紙を取り出した。
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ハルカ様。
この度は、叶い屋にハガキを出して下さりありがとうございました。
ハルカ様は、
仮叶い人に見事に選ばれました。
仮、と言いますのは
叶い人になるには、以下の大原則を守ることを誓って頂かなければいけないからです。
◎叶い人が守るべき大原則◎
①叶い屋にむやみに接触したがらないこと。
②叶い人に選ばれたことを絶対に誰にも言わないこと。
③お願いを叶える努力をすること。
これを守れるようであれば、
あなたは叶い人になれます。
守れるならば
誓いの言葉を書き、
以下のアドレスにメールしてください。
*********@abcd
ではお待ちしております。
叶い屋
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手紙を読むと、
誰かのいたずらではないと思った。
採用されたなんて。
うそ、でしょ?
本当に採用されたの?
何回も何回も手紙を読み直した。
本当に信じていいの?
誓いの言葉って何書けばいいの?
大原則は守りますって書けばいいのかしら?
私は近くのスマホを手に取り、
メールアプリを開いて
手紙に書いてあるアドレスを打ち込んだ。
感謝の言葉と、
大原則を厳守するという旨を書いて送信した。
返信は来るだろうか?
ソワソワしていると
1分後にはスマホが振動した。
はやっ。
恐る恐るロックを解除して開くと未読1件。
先程自分が送信した先のメールアドレスからメールが来ていた。
メールアドレスの横には、
”ゆうウサギ”の文字。
この人の名前か?