ファインダー越しの君へ
(カッコイイ?そんな風に思われていたんだ。先輩から見てかっこいいって何だろう。)


よくわからないけど、ただただ光栄なのはわかった。


「笑うなよ。とにかくその姿を見て、この子を撮りたいなって思ったんだ」


(嬉しい)


「ありがとう、ございます」


少し先行く背中を見つめながら、塁はもらった言葉をかみしめた。


「じゃあな。来週、最終回よろしく」


「はい」


(先輩が好きだ)


(好きだからこそ、真剣な先輩の邪魔をしたくない)


(告白して困らせたくない。高校生活最後の貴重な夏休みに私を撮ることを選んでくれた。


告白できないけど、それだけでも宝物として心の中にしまっておこう)


塁はそう心の中でつぶやき、家路についた。
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