【短】残月、残滓、残照、残恋。そして、残愛…。
ーーー夢なら、早く醒めて…ーーーー



自分の都合のいい条件が揃ってしまった現実に私は心の中でそう願う。

そうでもしないと、バカな期待をしてしまいそうだったから。

だから、極力落ち着いた…どちらからというと冷めている方の声で、呟く。



「…で。なんなの?」


「そんなに冷たくしないでよ。とりあえずは…中に入れてくれる?」


「なんで?ここでも話なら…」


「出来ない」


「…っ」



ソウの腕の中に大人しく納まりながら、逃げるタイミングを伺っていたら、もっと強く抱き締められて、心が震えてしまう。



勘違いするな、私。

こんなの、こんなのは、ソウの気紛れでしかないんだから…。

我儘なモデルのご機嫌を取るための常套手段でしかないんだから…。
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