【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「ちょっ、遠野さん!」
両手に荷物を持ってやってきた私を、室屋さんは驚いたように受付から飛び出して出迎えた。
病院は今日の診察を終え、待合室には来院している人の姿は見当たらない。
「蓮さんとこに住み込みで働くって、マジすか⁈」
すでに話は伝わっているらしい。
どう反応したらいいのかわからず、引きつる笑みを浮かべ「はい……」と頷いていた。
「どうしてそんなことに?」
「どうしてって、ここの仕事をどうしても手伝いたいからって、頼み込まれたからだ」
奥から出てきた辻先生が口を挟んできてぎょっとした。
まさに、〝私が余計なことを言う前に〟というタイミングだ。
勝手な言い分に、「いや、あのっ」とつい口を開く。
そうこうしているうちに、やって来た先生に持ってきた荷物を奪われていた。
「ついて来い」
先生は今自分が出てきた診察室のドアを抜け、奥へと進んでいった。