【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
夏の朝は気持ちがいい。
もう数時間すれば外を歩いているのも日差しが強く辛くなるけど、この時間ならまだアスファルトも熱されていないから、素足の動物たちも歩きやすい。
「結構早い時間でしたね……」
「朝は苦手か」
「いえ、そうでもないと思うんですけど……」
普段行く時間より少し早いくらいだろうと思っていると、六時前に先生が部屋にやってきた。
起きたばかりでぼやぼやしていたところで、慌てて着替えて洗面に立ち、身支度を整えた。
もし起きてなければ、下手をすれば寝ているところを起こされてしまったかもしれない。
さすがに無防備な寝顔は見られたくない。白目でも向いていたら最悪だ。
「でも、早朝は気持ちがいいですね! 涼しくて」
まだ六時をまわったところ。
私が勤める大学病院と、その向かいの国営公園の前を通る大通りも、昼間や夕方は人通りが多いけれど、今はほとんど人の姿は見当たらない。
犬の散歩をする人と、ランニングをする人、一組づつしかすれ違っていない。