四つ脚の絵書き歌

5 ―獣の推理大会―



何だ、この無防備すぎる敵は。


ここまで簡単に気絶するなんて、思ってもみなかった。

探るような相棒の視線から逃れたくて、そして獲物を早く巣に持ち帰りたくて、穴に飛び込んだ。獲物の首に噛み付くと、そいつは呆気なく白目を向いた。

いくら何でも速すぎやしないか?

こいつは一体今までどうやって生きてきたんだ。こんな根性なしで、よくここまで成長できたな。やはり竜神のやつらは寛大だ。巣に帰ったらきっと温かい土下座と釈明の言葉でおれを出迎えてくれるだろう。
しかも、そのまま口に咥えて持ち上げてみれば、見た目に反して軽いのなんの。これなら相棒だけでも十分運べるだろう。
とりあえず、首を咥えたまま引きずって巣に持ち帰った。
< 17 / 28 >

この作品をシェア

pagetop