四つ脚の絵書き歌

「一応言っておくけど、僕は数学の点数そんなに悪くないんだー。一応90点代なんだー」
「??……あ、あっそ」
「国語もね、割といいんだよー。えぇー……89点かな?数学より下がっちゃうけどー」
「……ふーん……」
「物理と化学の点数も、クラスではいい方なんだよー。特に物理なんか「うがーーーっ聞きたくないぃ!!!」」

少女がよくありがちな反応を示した。
祥一は根っからの「女の子の嫌がることはなるべくしない主義」だ。姉妹の間に挟まれていれば、自然と対応も分かるというもの。

「ごめんね、聞きたくなかったんだねー。女心が分からなくてごめんねー」
「……おい、こいつ頭大丈夫か?」"わおーんっ!"「ねー何で今遠吠えしたの」

思わず犬を罵っていた。
犬はペロリと舌を出したが、この時祥一は犬がよく舌を出す生き物であるということをうっかり忘れていた。

点数を伝えたのに馬鹿にされたのは初めてだった。

祥一にとって、数学、理科、国語の点数というものは所謂「三種の神器」に等しい威力を持っていた。

クラスで一二を争う成績の保持者としてのプライドが顔を出した。
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