カクテル紅茶館の事件簿録
「タマちゃん、どうぞ?」
ヌイに促されて運ばれてきたばかりの紅茶を口に含む。
その瞬間、ピリリとしたスパイスの刺激を感じる。
そのすぐ後をオレンジの香りが追いかけてきてスパイスの刺激をほどよく中和する。
メインであるはずの紅茶はそれらを引き立てるように柔らかく口内に広がり、その香りは優しく鼻から抜けていく。
「温かい」
温かい紅茶を飲んだおかげでもちろん体は温かくなった。
室内で温められてはいたけど芯の芯にあった冷えを解消してくれた。
でも、このお茶を飲んで一番に温かさを覚えたのは心だ。
今日はまた一段と冷える。
しかも学校では嫌なものを見てしまった。
そのせいで疲れ切っていた私の心に、ヌイの淹れたお茶は安らぎと落ち着きを与えてくれた。