カクテル紅茶館の事件簿録
「僕はさ、弱虫なんだ」
その声音は聞き逃してしまうくらいに落ち着いていた。
「弱虫……」
かろうじて拾った言葉を、だけど上手く飲み込むことが出来なくて自分の声で繰り返す。
「そう、弱虫」
ヌイは自傷的な笑みを零しながら葵を撫でる手を止める。
「僕にならきっとあの人を見つけられる。
ちゃんとそう言うノウハウをばあちゃんから引き継いだ。
会いたいなら待ってばかりいないで自分から会いに行けばいい。
教えて欲しいなら知りたいことは自分から聞けばいい。
僕にはそれができる」