カクテル紅茶館の事件簿録
「お父さん、お母さんありがとう」
その言葉は自然にこぼれ落ちた。
考える必要なんてないことだからだと思う。
普段は言うタイミングないだけでずっと思ってた言葉だから。
家族なんだからと甘えて声に出そうとしなかっただけでずっとずっと思っていた言葉だから。
「どういたしまして」
お父さんとお母さんは二人とも同じタイミングで目尻を下げた。
そして同じタイミングでそう言葉を発した。
ああ。
私はお父さんとお母さんの子供でよかったな、だなんて思った。