カクテル紅茶館の事件簿録

別に家に帰りたくないとか、なにか悪いことを企んでるとかではない。

ただ、せっかくの金曜日なのに特に何の予定もなかったから散歩をしているのだ。

そう、暇、夕暮れ、金曜日。

私があそこへ足を踏み入れてしまったのは、だから……。

目には見えない力が作用し会ったことであそこへと辿り着いてしまったんだ。

それは単なる偶然なのか、はたまた何か必然的なものだったのか。

なんにせよ平穏とはなんと難しい。

きっと、私の平穏はあの瞳と絡み合ってから緩やかに崩れ始めていたんだ。
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