出稼ぎ公女の就活事情。
 わたしはモンタさんと違いカウンターで事前に条件の合う仕事を見繕ってもらっている。

 わたしの希望はリルの邸からできるだけ近く、人通りのある通り沿いであること。
 これはわたしというよりカルダさんから求められた条件だけれど。
 あとは期間が短期で昼前から夕方までの仕事。
 できればお昼のお店の品出しや皿洗いあたりがいいかなとは伝えている。いいかな、というより、それぐらいしかできそうなことがないという哀しい現実。

「こんにちは。あの、前に出したのどうでしたか?」

 まずは先週に応募を出した仕事の確認をお願いする。

 カウンターのお姉さんともすでに顔馴染み。
 カードを出すまでもなくカウンターの引き出しからいくつかの書類を出してくれる。
 けれどその顔は、申し訳なさそうなもので。

「ごめんなさい。今回も……」
「そう、ですか」

--やっぱり。

 もはや聞くまでもなく顔でわかってしまったけれど。また完敗。

 いくつもの募集に応募しているのに、これまで一度も面接すら受けられていない。
 しかも時間が経つにつれ期間はどんどん短くなっているのだから、より難しくなるのは当然だろう。
  
「日雇いの方がいいんでしょうか?」 

 モンタさんのように期間の決まった仕事でなくその日限りの仕事。

「日雇いは女性がするような仕事はあまり……。時間帯も夜のものが多いですから。リディアさん、計算もできるとおっしゃってましたよね?この月はどこの商会も帳簿の確認をするところが多いんです。来月は半年に一度国からの視察が入る月なので。良ければそちらの仕事にも応募してみませんか?数日間程度のものですが」

 お姉さんの提案にわたしは俯きかけた顔を上げた。

「はい。よろしくお願いします!」

 3つほど見繕ってもらってまた次に来た時に合否をもらう。
 数日程度の仕事では大したお給金にはならない。
 そもそも仕事ができる期間もすでに一月を切っているのだ。
 探して見つかったとしても、いったいどれだけの額になるか。

 わたしが仕事を探しているのはもはやただの意地に過ぎない。わたしだってこうして仕事ができるというのを証明したいという感じだろうか。
 自分でもよくわからないけれど、とにかく探しているからには一つくらい仕事をしたいもの。

 わたしはお姉さんの手をカウンターの上で握り締めてよくよくお願いをした。

 まったく先の見えなかったお仕事探し。
 そこにほんの少し、明るい光が差した気がして気分良く入口に向かう。

 その時、チラリと視界の隅に入ったモンタさんの顔がわたしとカウンターのお姉さんを交互に見て眉をひそめたように見えた。

 なんだろう?と少し気になったけれど、モンタさんはすぐに掲示板に向き合っている。
 待たせているシルルが気になることもあって、わたしは首を傾げつつもそのまま外へと出た。

 


 
< 44 / 86 >

この作品をシェア

pagetop