演っとけ! 劇団演劇部
第3幕 誕生! 劇団演劇部!!
次の日、体育館で全校集会が行われた。
穏やかな面持ちの校長先生の話が終わると得意満面の笑みを浮かべた國井生徒会長が壇上に現れた。
今後行われるいくつかの学校行事の報告をしたのち、演劇部をはじめとする数多くの弱小部廃部を宣言した。
少しは生徒内からざわめきがあるものかと思っていたけど、僕ら1年生が入学する前より行ってきた活動だったからなのか生徒会長の声が高らかに響き渡っても、みんな全くといっていいほどリアクションがなかった。弱少部というだけあって、あまり関係のない生徒が大半なのもあるかもしれない。
 唯一3年生の列のほうから赤い髪の人が
「生徒会の独裁政治、はんたーい」
と抗議のコールを続けていたが、完全に無視され続け、國井会長が壇上から降りた後も何やら叫んでいたので、最後は生徒から影でゴリラーマンと呼ばれている体育教師に襟首をつかまれたまま、どこかに連れて行かれていた。
 國井生徒会長が嬉々たる表情を抑えつつ演劇部の廃部を宣言しているとき、僕は列の前にいる遠藤さんの様子を覗き込もうとした。
後ろ向きで表情は全くわからなかったけど、きっと僕や相田先輩よりも悔しい表情を浮かべているはずだ。
 昨日のあの(僕が格好悪く立ち尽くした)あと、話をこじれさせそうな先輩を部室に置いて、遠藤さんと二人で生徒会室に直談判に行った。
 生徒会室は校舎から見て演劇部の部室とちょうど対角線上に位置している最上階の一番日当たりのいいところにあった。
 生物室の準備室のように重く閉ざされたその扉には『生徒会室』と無機質な文字でデカデカと記された立て札があり、まるで一般生徒を威圧しているかのように見える。おもわず何もしないでUターンしたくなったけど、僕の背中には遠藤さんがいる。
 このまま引き下がるわけにはいかない。
 僕は意を決して生徒会室の硬い扉を2回少し強めに叩いた。
「どうぞ」
 窪田副会長の声が聞こえ、僕らは恐る恐る扉を開いた瞬間に雷が光り、生徒会室の窓際に座る國井生徒会長のシルエットが大きく浮かび上がった。
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