演っとけ! 劇団演劇部
「どっちにしたって部室じゃ練習できないんだ。部室なんて無くても…」
 そこまで言って、僕は大道具が使えないことに気が付いた。あそこは部室兼倉庫だったことを忘れていたのだ。だけど、僕のアイデアに遠藤さんは目を輝かせ
「すごいよ、それ!」
と話に乗ってきた。
(ここで大道具の問題を取り出して、また彼女を落ち込ませるわけにはいかない)
そんな僕の不安を
「そっか、その手があったんだ! 大道具を使わないで出来る芝居だってたくさんあるしそれなら絶対やれるよ!」
と遠藤さんは一人納得するように言って、あっけなく解決してしまった。
 あとはどうやって仲間を集めるか、だ。
「それなら俺にいい作戦がある」
すると、今まで本当に役立たずだった相田先輩がどこからともなく湧いて出てきた。
「去年の生徒会は次の任期のことも計算に入れてかそれなりに大人しかったが、今年からはかなり強引なやり方で改革を進めている。そのために不満に思う生徒も増えているはずだ。そいつらを根こそぎ引き込む」
「で、その『そいつら』はどうやって見つけるんですか?」
と、僕がやや呆れ気味に聞いた。
「今日の全校集会で演劇部と一緒に廃部にされた部活が結構あっただろ? まず手始めにそこから勧誘する」
(なるほど)
 予想外に先輩からまともな作戦が出た。
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