演っとけ! 劇団演劇部
第7幕 仲間集め大作戦その3 ~戦え! 劇団演劇部! えっ、戦うの?!の巻き~
 なんだかお決まりになってきた昼休み作戦会議。
 先輩二人と遠藤さん、ジョーを交えてなんとも賑やかになってきた。とはいうものの僕を合わせて5人。
 学校の校則では『5人以上で部。それ未満は、会として活動するもの』とされているので、まだ最低限の人数が揃っただけなのだ。
(まぁ、学校内活動として認められていないから関係ないのだが)
「悪いけど人探しは、そっちで勝手にやってもらっていいか?」
 ジョーは放送委員会の他にも、パソコン部に所属しているからそこまで手が回らないという。
 やっていることはどっちも『音と生活の関係性』という自分の実験なのだけど、大人数で動く意味もないので誰も反対しなかった。
「まぁ、必要なときは呼んでくれ。学祭が近づいたらそっちに専念するし、な」
 先輩にもタメ口を使う彼に冷や冷やものだったけど、この二人はあまり気にしていないようだ。
 礼儀を知らない人間が嫌いなはずの洸河先輩も、この間のライブでジョーのことは認めているようだ。というより昨日も二人で音楽の話なんかをしているらしく仲がいい。
 絶対に相容れない二人だと思っていただけに意外だった。
音楽の力って偉大だ。
「役者はせめてあと一人か二人は欲しいところですね」
遠藤さんがそう言うと
「実は一人、狙っているやつがいる」
と相田先輩が自信満々に言い出した。
先輩が自信満々のときはろくなことがない。
「誰なんですか?」
僕が不安げに聞くと
「もう少しで、ここに来る」
相田先輩はイチゴ牛乳を飲みながら、得意げに答えた。
 なんと、もう約束を取り次いでいるとは。
 どうやら先輩は先輩で、独自に勧誘を進めていたのだ。まだ一抹の不安は残っていたけど、それが本当ならいい調子で仲間が増える事になる。
「来たぞ」
相田先輩の言葉で屋上の出入り口に注目した僕らの目に飛び込んできたのは、こちらも昼休みの屋上ですっかりお馴染みになっていたジャージ姿のカンフー男だった。
 彼以外に屋上に入ってきた生徒はいない、
「ほら、あいつだ」
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