演っとけ! 劇団演劇部
第9幕 アタックNo.エイト(中編)
「で、今井にやらせる罰ゲームって何なんだよ」
「そんなの、考えてるわけないだろ」
 小島の質問にうんざりしながら答える僕は正直焦っていた。
「でも確かに私たち美女3人に対して、謝るだけじゃ賭けにならないものね。頭に血が上ってて気付かなかったわ。やるじゃない、栄斗君」
 桜井さんは褒めているつもりなのだろうけど、全くそんな気がしない。(さりげなく美女とか言ってるし)
 今井への罰ゲームなんてどうでもいい。問題はどうやって勝つか、だ。
「友情パワーよ、友情パワー。相手がいくら強い奴を集めた最強チームでも、クラスの友情パワーを持った我がCCチームの前では、敵じゃない!」
「おう、その手があったか!」
 桜井学級委員長の熱弁に同意する小島。
 気持ちはわかりたいけど、こっちも即席チームなのは変わりない。メンタル面だけで勝てる相手でもないだろう。
 遠藤さんに視線を送ると
「とりあえず、一戦一戦をしっかり勝ちあがっていくしかないよ。不戦敗でも負けのわけだし」
という最もまともな意見が返ってきた。
 とても有難いことだけど、仮に現役のバレーボール部やスポーツの得意な奴が入っているチームが全部、今井のBBチームとあたってくれたとしても決勝で負けてしまったら意味がないのだ。
 綾奈ちゃんに意見を求めようにも、さっきから
「頑張ります!」
しか言ってない。
 どうやら戦う前からプレッシャーでやられてしまっているみたいだ。
 こうなったら我がチームの作戦参謀(文庫本を桜井さんに取り上げられた)御手洗君にすがるしかないのだけど
「うーん。いくら強いとは言っても同じ高校生だし、どんな番狂わせがあるかわからないよ」
と一般論を述べたあと
「まぁ、期待できないけどね」
と、最も高い確率論で話をしめた。
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