なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!

「咲は、ふたりの内どっちといるのが楽しい?そういうシンプルなことで決めて良いんだからね!さ、咲の王子様が来るよ?」

教室に向かってくる足音に私はつい隠れたり逃げたりしたくなるも、ぐっと足を踏ん張って堪えた。

教室に来たのは谷村くん。

「咲ちゃん、ここに居た!」

そう言って、私を見て素直に微笑む顔にドキッとする。

そうだ、私は夏から過ごす時間の増えた期間にいつの間にかこのドキを何度も感じてはそれを流してきた。
それは、里田君より多く過ごした谷村くんの方が多かった。
里田くんのギャップにもドキッとはした。

でも、私は何気ないささいな日常にあることで谷村くんにドキッとすることが最近増えた。
特に私だけに見せてくる、真っ直ぐな計算してない微笑みは好きって気持ちを隠してなくて。
私の鼓動を狂わせるには十分だった。

「咲ちゃん、俺は何度でも言うよ。咲ちゃんが好きだよ。色んなこと一緒にしたいし、何もしない時でも一緒に居たいよ。俺と付き合ってください」

真っ直ぐな言葉と、私の返事を待つ緊張した表情。
いつの間にかふたりだけになった教室にパッと外から明るい光が差し込む。
それは後夜祭恒例の打ち上げ花火。

そこに照らされた、顔を見て私はコクっと喉を鳴らすとようやく口を開いて返事をした。

「谷村くん程じゃないけど、たまに何気ないことにドキッとして。たまにもう少し一緒にいたい気がして……」
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