なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!

そんなわけで、一般受験者や、外部受験者に比べてだいぶ気持ちに余裕のある夏休みを迎えることとなった今年。

課題もないので、勉強しつついっそバイトでもしようかなどと考えてみる。
この夏、私は十八になるので車の免許も取りに行きたいところだし。

そんなふうに夏休みの過ごし方を考えてるうちにLHRになり、順番に通信簿が配られる。

一、二学期は十段階評価。
学年末は五段階評価である。

手渡された通信簿を見て、一息つく。
ほぼ九か十。たまに八で概ね問題なし。

これなら免許を取りに教習所に通うのも、バイトをするのも問題ないだろう。
ほくそ笑む私に近くに来た春子は言った。

「ちょっと、咲!顔どうにかしな!緩みまくり!」

その言葉にハッとして表情を引き締める。

「つい、夏休みの過ごし方を考えたら表情に出てたみたい」

首を竦めつつ言えば、春子は珍しそうにして言った。

「なに、なんか楽しいことあるの?」

私はその問いに答える。

「今回成績問題ないから、夏休みから教習所に通おうかなって。親との約束は守れたから」

ニコッと言えば、春子は納得という表情をして言った。

「咲、絶対取るのはAT限定だよね?!」

とのツッコミが入る。

「そう、家族も言ったの。お前はAT限定で取りなさいって」

不満顔の私に春子は実に真面目くさった表情で言った。
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