なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!
これだから浴衣は避けたかったのに……。
そう思いつつ駅前を見れば。
おぅ……。
遠巻きに女子に囲まれたイケメン二人が居ますね……。
これは面倒くさそうなので回れ右して帰りたいんだけど、そこはほら、ね……。
「咲ちゃん!!わぁ、可愛いね!浴衣着てきたんだね!」
という、ものの見事な声かけにより速攻その機会が無くなったという訳です……。
駆け寄りながら掛けられた谷村くんからの言葉に、私は苦い顔をしつつ答えた。
「うちに居た兄と母のゴリ押しみたいなものよ……」
フイッと顔を逸らしつつ言えば、それに反応したのは里田くんだ。
「着付けと髪型は自分で?」
それには首を横に振って答える。
「これは、母よ。元美容師だからヘアアレンジも着付けもお手の物ってやつで……」
ちょっと恥ずかしい。
自分でもできないことはないけれど、母の方が上手いし着崩れも起こしにくい。
なので母がいる時は頼ってしまう。
「へぇ、お母さん器用だね」
私のアップにされた髪を見て谷村くんも言った。
「まぁ、今日は浴衣の子も多いしそう目立たないでしょう。私は普通だし」
そういった私にふたりは目を見開いて、その後ため息をついた。
「そうだった。咲ちゃんは無自覚だった……」
「さっきから、すっごい見られてるの分からないのか?」