俺様外科医の極甘プロポーズ

 麻酔科医とオペ室の看護師を呼び出して、真夜中の緊急手術が始まる。

「すみません。よろしくお願いします」

堂島はみんなに頭を下げた。

「堂島、お前が悪いんじゃないよ」

「でも」

「いいから。始めるぞ」

彼はきっと、自分の診断に自信が持てず、みんなが残業になるあの時間に手術をするという選択ができなったのだろう。

翌日までどうにか待てるだろうと踏んだ。けれどその診断は間違いだ。

けれど、彼を責めることはできない。

夕方病棟に立ち寄った時、堂島に声をかけていたらこんなことにはならなかったのかもしれない。

今日の俺は後悔ばかりだ。

手術は無事に終わった。炎症を起こした虫垂はやはり穿孔を起こしていて思った以上に時間がかかってしまったが、命に別状はない。

「先生、ご迷惑おかけしました」

「迷惑じゃないよ。堂島はちゃんと自分の仕事をしてくれたと思う。おつかれさま」

 なかなか頭を上げようとしない堂島に俺はねぎらいの言葉をかける。

患者が病室に戻り家族にこれまでの経過と今後の治療についての説明をする。

すべてが終わるころには、夜が明けようとしていた。

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