俺様外科医の極甘プロポーズ
「おはようございます」
わざとらしいくらいに明るい声で挨拶をする私に、少し疲れた顔の先輩が答える。
「花村さん、おはよう。もう散々な夜勤だった」
「なにかあったんですか?」
「あったのよ。真夜中の緊急手術」
「緊急手術?」
「夕方入院してきた患者さんが夜中にね。堂島先生ひとりじゃどうにもできなくて、壱也先生をよんだの」
「そうだったんですか」
カルテを見ると、手術は午前三時に始まり、四時半に終わっていた。病室に戻ってきたのは五時過ぎ。それから家族に説明をしたのだろう。先生の記録は六時に書かれていた。ということは、先生は寝ずに仕事をしていたことになる。
先生の心配をする自分に無性に腹が立った。あんな男のことなんてどうだっていいじゃないか。