俺様外科医の極甘プロポーズ

「おはようございます」

 わざとらしいくらいに明るい声で挨拶をする私に、少し疲れた顔の先輩が答える。

「花村さん、おはよう。もう散々な夜勤だった」

「なにかあったんですか?」

「あったのよ。真夜中の緊急手術」

「緊急手術?」

「夕方入院してきた患者さんが夜中にね。堂島先生ひとりじゃどうにもできなくて、壱也先生をよんだの」

「そうだったんですか」

 カルテを見ると、手術は午前三時に始まり、四時半に終わっていた。病室に戻ってきたのは五時過ぎ。それから家族に説明をしたのだろう。先生の記録は六時に書かれていた。ということは、先生は寝ずに仕事をしていたことになる。

先生の心配をする自分に無性に腹が立った。あんな男のことなんてどうだっていいじゃないか。

< 123 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop