俺様外科医の極甘プロポーズ
「……柏瀬さん。点滴をしますね」
「柏瀬さんだと? おまえ、何を言い出すんだ」
「先生はいま、私の大事な担当患者さんです。患者を看護するのが私の仕事です。ですから、でていきません」
私は先生の左手をつかんで、その手に点滴をするための針を刺した。
しかし、じっと見られていると作業がやりにくい。同業者だとやりにくさが増す。否が応でも緊張するし、手が震えてしまう。
「意外と不器用なんだな」
そう先生はいった。点滴の針を刺すくらいのことで私の評価が下がってなるものか。そう思って力むと余計にうまくいかない。普段はスムーズに行えているのに。なんて悪循環なのだろう。
「これはですね。先生の前なので、緊張しているんです」
「へえ、既に言いたい放題だったくせに、いまさら緊張するとかどの口が言うの?」
くすりと笑われて、思わず赤面する。確かにそうだ。あんなに言いたい放題したあとに、「緊張している」だなんてしおらしいことを言っても信じてはもらえないだろう。
「一回で入れろよ」
「わかってますよ!」
そんなことくらい言われなくてもわかっている。いちいち無駄なプレッシャーをかけるのは辞めてもらいたい。