俺様外科医の極甘プロポーズ
でも、なんとなく食欲がわかない。私の箸は止まりがちだ。

「どうした? 体調でも悪いのか」

「いいえ。少し疲れたなと思って」

おいしいはずのご飯は砂を噛んでいるようだった。

原因は昼間の出来事にある。けれどそれを先生に話すわけにはいかない。もちろん、目を合わせるのも辛い。

食事の片づけをし、先生のお風呂の手伝いをし、着替えをさせ、ベッドに誘導した。

ひと息つく間もなく、洗濯機を回しつつ乾いた衣類をたたむ。それが終わるとモップと雑巾を駆使して棚と床を掃除する。

日付が変わったころ、先生の様子を見に寝室を覗いた。すると先生は電気をつけたまま、パソコンを抱えて眠っている。

「ああ、また……」

先生はいつもそうだ。まるで電池が切れたように作業途中で寝てしまう。

リビングでこれをやられると困るので早めにベッドへ入ってもらうようにしているのだけれど、それでもこうして手がかかる。

放っておけばいいのかもしれないけれど、さすがにパソコンの回収と消灯はしてあげないとならない。

病院では完ぺき主義の先生も、私生活ではわりとずぼらな面がある。


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