俺様外科医の極甘プロポーズ
「先生、ご飯にしましょう!」
先生はソファーから立ち上がると、ダイニングテーブルまでひよこひよことぎこちなく歩いてくる。
「今日はずいぶんと豪華だな」
先生はテーブルに並んだ料理を見ると、驚いたように言った。
「はい! 先生の快気祝いです。お酒も解禁かなと思って用意しました」
私は椅子を引く。
「どうそ」
「ありがとう」
先生を座らせると並べて置いたグラスにシャンパンを注ぐと自分も席に着いた。
「乾杯しましょう。先生、職場復帰おめでとうございます」
「ありがとう」
グラスを合わせてからゆっくりと味わう。お店で一番の高級品だけあって、とてもおいしい。先生も気に入ってくれてようだ。すぐに空になったグラスに二杯目を注ぐ。
「ローストビーフはりさの手作り?」
「はい。初めてなんですけど、おいしそうにできたと思います」
火の通り方もいい感じだし、ソースの味もおいしく仕上がった。
「うん、うまい!」
「よかったです。たくさん食べて明日からお仕事頑張ってください!」
「ああ、そうだな。休んだ分、取り戻さないと」
先生が休んでいた間も柏瀬病院の患者数はさらに増えた。
手術も代理の先生たちがうまくこなしてくれている。それなのに、業務が増えないのは、新しく入職してきたスタッフたちがどんどん業務改善をしているおかげだ。
改革を嫌って意固地になっている人たちも相変わらずいるけれど、いい風が吹いていると思う。この上昇気流に乗ってしまえば、壱也先生の目的はきっと達成できるに違いない。