俺様外科医の極甘プロポーズ
「先生」
助かった。そう思った瞬間、へなへなと力が抜けて私はその場に座り込む。
「心配したんだ。帰ってこないから」
いいながら先生は手を差し出してくれる。私は遠慮がちにその手を握って立ち上がった。
「すみません。助かりました。アハハ……」
「よく笑えるなこの酔っ払いめ!」
先生は私をにらみつける。本気で怒っている顔だ。
「ごめんなさい。つい飲み過ぎてしまって」
「いい身分だな。いくら待っても帰ってこないから心配でお前のアパートにもいったんだ。今日、あんなことがあったし、きちんとフォローしないといけないと思っていたのに。それなのになんだ、この様は」
……あれ?先生はいま、私が帰ってこないから心配したって言った?
「あの、私。先生のマンションに帰ってよかったんですか?」
「当たり前だ」
「でも先生は職場復帰したし私がいる意味がないですよね?」
そもそも先生を看護することが目的だったし。もう私があの部屋にいる必要はないはずだ。
「……嫌なのか?」
先生はぼそり、といった。
「はい?」
「俺と一緒に住むのが嫌なのかって聞いている」
嫌ではない。そんなわけない。むしろ、この生活が終わってしまうことが寂しいくらいだった。完璧人間に思えた先生が私なんかを頼ってくれることに喜びすら感じていた。
「……嫌じゃ、ありません」
「じゃあ、帰るぞ! と言いたいところだが、もう歩けそうにない」
冗談を言っているようには見えなかった。もしかして、私を探すために歩き回ってくれたのだろうか。いくら仕事復帰したからと言って今までのように歩けるわけではないのだ。
「足が、痛むんですね先生。大丈夫……じゃないですよね」
「……。少し休んでいきたい」
視線の先にはもちろん、ラブホテルがある。