高校生夫婦はじめました。

返事をするより前に手を取られ、その手を正臣の胸板にひたりと押し当てられる。思っていたより少し温かい。私より体温が高いみたい。それから、思っていたより結構硬い。

「……筋肉?」

硬い部分を指先で押さえながら尋ねた。
正臣はぎこちない様子で答える。

「たぶん。……知佳は全体的に柔らかいな」

そう言って、胸の下からお腹のあたりを“つつつ……”と撫でられた。くすぐったさにビクッと反応すると、正臣に小さく笑われた。

「すげー敏感」
「いっぱい触るからでしょ……」
「うん。知佳も触って」

言われた言葉に従って、今度は胸だけじゃなく正臣の肩や二の腕にも触れてみた。私と同じように柔らかい部分もあれば、私と違ってゴツゴツしている部分もある。違いを確かめるように触れるのはちょっと楽しい。

正臣は私が触りやすいように、私の肩の上あたりに肘を突いて上体を伏せていた。目前にある素肌に私が躊躇いなく触れると、右で彼の腕がぷるぷる震えるのを感じた。

「……正臣はくすぐったくないの?」
「いや、結構……くすぐったい。でも慣れてほしいし」
「慣れ……?」
「知佳に。俺の体に慣れてほしい」

ひとしきり手触りを確認して、私はもう結構慣れはじめていた。
初めて間近で見る男の子の素肌。抵抗とかは特にない。

……むしろ。
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