最弱救世主とドS騎士

「めちゃくちゃお腹空きました」
素直に言うと気の毒そうな顔をして、彼女は大きなテーブルに近寄りサーッと小さな腕を振ると、テーブルの上に果物とパンとサラダと鳥の丸焼きが並んだ。

これが魔法なのか!

「今日は私の魔法で申し訳ありません。明日の朝からは料理長の美味しい食事を口にできると思います」
本当に申し訳なさそうに言われてしまった。

「これで十分完璧です。ありがとう」
本気でお礼を言ってテーブルに着いてパンを一口食べると……美味しい。ふわふわしてるお腹空いてたから泣きそう。

「リナ様はお優しいですね。ゆっくりお食べ下さい」
シルフィンは安心した声を出して手を使わずにワインを注ぎ、鳥の丸焼きを取り分けてくれた。
魔法って便利ね。

私は食事をしながらこの世界の事をシルフィンからお勉強。

タラシの国王とドSな騎士より
よっぽどまともで頼りになりそうだよシルフィンちゃん。

彼女は気付けば海辺で倒れていた状況の私の話を聞き、気の毒に思ってくれた。

「では、この国のことも何もわからず、魔法も使えないのですね」

「はい」

その一言で全て完結です。

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