そして、失恋をする
「じゃあ、僕のこと好きっていうこと?」

希に訊かれたことを、僕は彼女に聞き返した。

「それは、どうだろう?」

「なんだ、希もはっきりしない答えじゃないか」

「ふふふ、そうだね」

僕が口からため息を吐いたのを見て、希は目を細くして笑った。

「でも、陸のことは嫌いじゃないのはほんとうだよ」

歩道を歩きながら、希がなにげない口調で言った。なんとなくだか、希のその気持ちはほんとうな気がする。

僕も希のことは嫌いじゃない。けれど、その先の関係まで思いがどうしても踏み切れないのだ。踏み切ってしまうと、千春が僕の中からいなくなりそうだから。

「じゃ、またね」

「ああ、じゃあな」

信号機が青に変わって横断歩道を渡る、希と僕はこの道で別れた。
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