そして、失恋をする
「だいじょうぶなの?」

『なにが?』

「そんな勝手なことして」

『だいじょうぶだよ、一回してるから』

「一回してるからって、またやってもいいってことではないと思うんだけど?」

『そうなの?』

「そうだよ」

僕は、きっぱりとした口調で言った。

『でも、このまま私とデートできない方がほんとうは悲しいんじゃないの?』

「それは……」

千夏にそう言われると、僕はそこで言葉に詰まってしまう。

『どうなの?』

「たしかにそれはそうかもしれないけど」

『じゃあ、同じだね。私もこのまま陸君とデートできない方が悲しい。だから私は、また病院から抜け出す。陸君に会うためにね』

「なんか、僕が悪いことをしてる気分だよ」

『そう?でも、しかたないよ。死にたかった私の命を、陸君が助けたんだから。そして、付き合う約束した。だから、私が死ぬ前にデートしないと』

千夏は本気で病院から抜け出して僕に会うつもりなのだろう、はっきりと言う彼女の口調からはとても嘘を言ってるようには思えなかった。
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